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第69部・お肌を守る

(2260)手足口病 子供に加え、大人もかかる 薬はなく、対症療法のみ
北國新聞(朝刊)2018年07月21日付

赤い発疹(金沢医科大病院提供)
 ちょうど1年前の7月20日、石川県はあるウイルス性感染症の「警報」を発令した。調査対象の医療機関で確認された患者数は前年同期の約30倍に跳ね上がっていたのだ。

 この感染症は手足口病(てあしくちびょう)といい、夏に流行する。文字通り、感染すると2〜5日間の潜伏期間の後に、手、足、口に水ぶくれや赤い発疹ができ、約半数の人に38度ほどまで熱も出る。金沢医科大病院皮膚科の八田順子助教は「手足口病には特効薬も予防薬もありません。発熱しているのなら解熱剤を飲むなど、対症療法しかできません」と話す。

1週間ほどで回復

 とはいえ、大概は1週間ほどで症状が消えるので、安静にすれば体調は回復する。乳幼児では脱水症状にならないよう水分を十分に取らせることも大切だ。

 手足口病は子どもに多く、患者の大部分を4歳以下が占める。原因はエンテロウイルスであり、口からウイルスに感染すると、腸管の中で増え、血液の中に入ってウイルス血症を起こす。その後、各臓器に運ばれていき、そこでまた増えていく。腸管で増えたウイルスは便に出て、便に触った手を介してうつる。便だけでなく、咽頭でもウイルスが出てくるので、つばなどによっても感染する。

 「警報が発令されるように感染力は強く、患者本人の症状が消えてからでも、つばからは1〜2週間、便からは1カ月ほどウイルスが検出されます」と八田助教が紹介する。金沢医科大病院では昨年、保育園児から家庭内に広がり、最終的に全員が感染した家族も受診したという。子どもだけではなく、大人もかかるので注意が必要だ。

 インフルエンザとは違って、手足口病は発症しても学校や会社を休むことは義務付けられていない。発疹が出て診断がついた時には感染力が落ちているからだ。症状がなくなっても、トイレの後の手洗いを心掛けることが重要だ。

 症状が軽いと安心してはいられない。八田助教は「10年ほど前に流行したタイプのウイルスに感染すると、水ぶくれや発疹が広範囲にでき、高熱を伴うこともあるので注意が必要です」と説明する。従来の手足口病なら水ぶくれの大きさは直径3〜4ミリほどで済むが、10年ほど前に流行したウイルスが原因の場合、水ぶくれは通常より大きい。また、治癒後に爪が取れてしまうこともあるそうだ。

脳炎の恐れあり

 さらに、頻度はまれだが、手足口病から重い病気につながる可能性があるので注意を怠ってはいけない。

 ウイルスが脳を覆う髄膜や脳そのものに感染すると、髄膜炎や急性脳炎となり、死亡する可能性がある。実際、国内でもエンテロウイルスが引き金となったとみられる死亡例があり、台湾やマレーシアでは年間数十人の死亡が報告されたこともある。

 八田助教は手足口病なら1、2日すれば熱が下がることが多いと説明し、「38度以上の熱が3日間続けば、病院で診察を受けてください」と呼び掛ける。

 国内では最近、数年おきに流行する手足口病。感染症といえば寒い季節に増えると思う人もいるが、夏に注意したい病気として覚えておきたい。



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