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第70部・昔の常識、今の非常識

(2280)感染症 歯で負傷、重症化のリスク 顔殴る、ペットにかまれる
北國新聞(朝刊)2018年09月29日付

室内で飼っているペットでも深いかみ傷を負えば、感染症のリスクを伴う
 傷口をきっかけとした感染症の一つとして以前、破傷風を紹介した。しかし感染症に気を付けなければならないのは、破傷風だけではない。動物に加え、人間の歯によるけがにも重症化のリスクが伴う。

 「殴られた人よりも、殴った人がリスキーだ」。金大医学類非常勤講師でながたクリニック院長の永田理希医師はこう語る。

 例えば、AさんがBさんの顔を殴った。Aさんの拳がBさんの歯に当たり、切り傷ができた。このとき、人の口にいる雑菌が傷口に入って感染症を引き起こす恐れがある。

拳が感染率高く

 永田医師によると、このような場合の感染率は、顔面が4%に対し、殴った手が28%とのデータがあり、「殴り損なだけ。それどころか、リスクが大きい」と指摘する。同じように、口の中の菌が傷口に入るケースでは人間によるかみ傷もそうだ。

 では、どんな細菌で感染症を発症するのだろうか。代表的なのは、どんな人の口にもいるアイケネラ・コロデンス菌で、患部に炎症、化膿(かのう)を引き起こす。ひどい場合には緊急的に外科手術をしないと命に関わる感染症にもなり得ることがある。

 かみ傷では、犬や猫など動物への用心も欠かせない。特にペットを室内で飼うケースが増えている現代だからこそ気を付けなければならない。

 犬からの感染で有名なのは狂犬病だが、1957(昭和32)年を最後に、国内では発生が確認されていないため、海外でかまれたようなケースをのぞけば、ほぼ心配ない。一方、永田医師が注意を促すのは、カプサイトファーガ・カニモルサス感染症だ。悪化すると敗血症などを招き、死亡例も報告されている。

 猫の場合、パスツレラ菌が挙げられる。猫のかみ傷でこわいのは、犬よりも歯が細いために傷が埋もれてしまうことだ。傷が深くなることで細菌に感染しやすく、筋膜や骨にまで達して、死亡するようなケースがある。

 以前、ある男性が永田医師を訪ねた。原因不明の高熱を訴えており、血液培養の検査をすると、犬からの感染症が疑われた。尋ねると、実際に男性はペットを飼っていたが、かまれた認識はなかった。永田医師は「『ペットがかわいくて多少かまれても平気』『うちのペットは外に出さないから清潔』というのは間違い。大小、内外に関係なく、口の中にはどうしても雑菌がいる」と警告する。

 では、動物や人間の歯で負傷した場合にはどうしたらいいのだろうか。

抗菌薬が必要に

 これらの傷は破傷風が疑われる場合と同じく、家庭で治すのは不可能で、外傷の治療と感染症の双方に知識と経験が豊富な医師に診てもらうのがベストだ。まず傷の状態に合わせた適切な処置を受けて、抗菌薬を投与してもらう。

 抗菌薬はどんなものでもよいわけではなく、陸や海などけがをした場所、犬や猫など動物の種類に合わせた抗菌薬を選んでもらうことが最重要になる。

 ペットとの触れ合いは、心が癒やされる。しかし、度が過ぎた行為は、大きなリスクとなることも認識しておきたい。



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