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第71部・やってみよう「眠活」

(2306)夜間摂食(飲水)症候群 食べないと眠れない 抑えられない欲求
北國新聞(朝刊)2018年12月29日付

夜間摂食飲水症候群を説明する山口医師=金沢市内
 心地よい睡眠には、3食を欠かさないことなど適切でバランスの取れた食生活が必要と前回紹介した。一方、睡眠と食が関連した不思議な病気がある。一端眠りについたのに目が覚めると、食べ物や飲み物を口にしないと、再び眠れない。心当たりのある人もいるだろうが、これもれっきとした睡眠の悩みで「夜間摂食(飲水)症候群」と呼ばれる。

 石川県内に住んでいた30代の女性は、大学院生のころから、寝付きが良いのに寝て1時間〜1時間半がたつと目が覚めるようになった。

朝食に手が伸びる

 「中途覚醒」は毎晩のように続く。どこか口さみしさがあり、翌日の朝ご飯に手が伸びる。その後、再び目覚めることもあり、果物を食べたり、ヨーグルトを飲んだりして再び眠りにつく。「朝まで起きない。起きても今夜は食べない」。固く決意しても強い摂食欲求は収まらない。

 医師によると、レム睡眠時行動障害や睡眠時無呼吸症候群(SAS)ではなく、睡眠薬を処方されたが、ぼーっとした状態で目が覚め、やっぱり食事を取ってしまう。「体重は増える一方だし、どうしたらいいのだろう。誰か助けて」。7年近くにわたって病気に悩み、いくつもの病院を訪れ、ようやく「夜間摂食(飲水)症候群」の疑いがあると診断された。

 「分かっているのに止められない。これがこの症状の恐ろしいところだ」。女性を診断し、医学誌で報告した金大名誉教授で松原病院(金沢市)名誉院長の山口成良医師はこう解説する。

 この病気は軽度、中等度、重度に分けられる。軽度の場合は、食べたり飲んだりする覚醒は週4回以下で、重度になると、毎晩1回以上の覚醒が起こる。

 この病気がどのような原因で引き起こされるのかは、分かっていない。女性に多いのではないかとの分析もあるが、山口医師は「男性にも十分起こりえる」と話す。

 この女性の場合、山口医師は、脳の活動を穏やかにする作用のある「セロトニン」が健常時と比べて減少しているのではないかと推察。セロトニンに作用する効果のある抗うつ剤を処方した。

 女性の生活はその晩から改善し始めた。「一端、起きることはあっても、食べたい欲求が出てこなくなってきた」。その後、ごくまれに食べたり、飲んだりすることはあったが、抗うつ剤の服用以前と比べ、顕著に減った。女性は現在、薬を必要とせず、飲食を伴わない睡眠を取り戻した。

迷わず相談

 ただ、前述の通りこの病気の詳しい原因は不明確だ。さらに山口医師は病気と認識していない人も多いのではないかと懸念した上で「正しい睡眠生活と、食生活の双方が欠かせない」と強調する。病気かもしれないと思ったら、迷わず専門医に相談してみるのも、忘れてはいけない。

 夜間摂食(飲水)症候群は自覚があっても止められないのが特徴だ。一方、無自覚で同じように睡眠と食事が関連するよく似た病気がある。「睡眠関連摂食障害」は寝ているはずなのに起き上がって食べ物や飲み物を口にしてしまう上に、自分の行動を覚えていない。次回はこの症状を紹介する。



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