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第71部・やってみよう「眠活」

(2307)睡眠関連摂食障害 覚えのない深夜の食事 抗てんかん薬が効く例も
北國新聞(朝刊)2018年12月30日付

睡眠関連摂食障害を起こすと無自覚に食べ物を求める
 前回、夜に目が覚め、食べ物を口にしないと再び眠りに入れない「夜間摂食(飲水)症候群」があると説明した。同じように夜中に起き上がって食事を取り、再び就寝する不思議な病気に「睡眠関連摂食障害」がある。前者との大きな違いは、本人が自身の行動を全く覚えていないこと。信じがたいが、実際に県内でも症例は確認されている。

 金沢市内に住むある女性は店を経営していたこともあって就寝時刻が遅く、毎夜のように不眠を感じていた。医師に処方されて睡眠薬を服用し始めたところ、7年ほどたってから自分では気付かない異様な行動が出始めた。

自分で調理

 就寝してから1時間〜1時間半ほど経てから起き出し、自分でうどんをゆでて食べ、後片付けをして眠る。翌日、家族に「お母さん、夜中に食べると太るよ」と心配されたが、全く覚えがない。

 別の夜にも症状は出た。寝室のドアを開けた女性は家族の朝食に用意したパンをむさぼるように食べた後、寝床に戻った。翌朝、自身の行動を自覚していない女性は「朝食がなんでないの。あなたが食べたんじゃないの」と夫をなじる。その後、カップラーメンやおにぎりを食べた夜もあったが、女性はやはり覚えていない。

 歩き回ったり、外に出たりする症状はないものの、家族の心配は募る一方。本人も体重が増え続けることに加え、言いようのない恐怖感にさいなまれ、病院を訪れた。検査の結果、医師は認知症ではなく、脳波にも異常がないとした上で「睡眠関連摂食障害」の疑いがあると指摘した。

 「口に運ぶものは、必ずしも食物とは限らない。無自覚なだけにやっかいだ」。金大名誉教授で松原病院(金沢市)名誉院長の山口成良医師は注意を促す。

 この病気は「夢遊病(睡眠時遊行症)」の特殊型ではないかと指摘する医師もいるが、詳しいメカニズムは分かっていない。しかし、原因に関連があるのではないかと疑われている一つに、睡眠薬など薬剤の副作用がある。

 前述の通り、女性も睡眠薬を繰り返し使っていた。山口医師は「症状と関係している可能性が大きい」と推測。睡眠薬から、睡眠関連摂食障害に一定の効果があるとされる抗てんかん薬に切り替えたところ、症状はあっという間に消えた。女性は現在も薬を飲み続けており、よく眠れて夜間摂食も見られないという。

有害な物質が口に

 女性の場合は、家族が症状に気付いたのが幸いし、受診につながった。しかし、これが1人暮らしだったらどうだろうか。不気味なことや体重増加の懸念はもちろんだが、飲み物と間違えて洗剤、食べ物と勘違いして乾燥剤など有害な物質を口にするリスクも頭に浮かぶ。山口医師は「症状が出ているのに、気付いていない人は確実にいる」と警鐘を鳴らす。

 メカニズムが未解明なだけに具体的な予防策はない。しかし、規則正しく生活することが何よりも重要になる。買ったはずの食べ物が冷蔵庫から消えた。なぜかベッドのまわりに食べかすが落ちている。不可思議な現象に気付いたら専門医に相談するようにしたい。



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