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第73部・目指そう適正体重

(2324)腹腔鏡下スリーブ状胃切除術 8割カットで食欲を抑制 「悪循環を変える」
北國新聞(朝刊)2019年03月02日付

腹腔鏡下スリーブ状胃切除術について説明する森山医師=金大附属病院
 大きな病気につながる肥満は食事療法や運動療法、投薬治療で一刻も早く改善するのが望ましい。しかしいったん痩せても、再び太ってしまうことを繰り返し、結果的に重度の肥満を招く例がある。

 この悪循環を劇的に変えるのが、胃の8割を取り除き、食欲を抑える「腹腔鏡下(ふくくうきょうか)スリーブ状胃切除術」だ。金大附属病院は命に関わる肥満を治療するため、北陸三県で初めて保険適用で施術する病院となっている。

国内で昨年700件

 「将来の重大な病につながる肥満を病気と考えれば、高度肥満の人は、この手術を受けるのがよい。欧米では胃がんの手術よりも、肥満対策の手術の件数が多くなっている」。内分泌・総合外科長の森山秀樹医師は語る。金大附属病院は2018年4月に導入して以降、5件の施術を行った。国内の手術例は2017年が約500件、18年が約700件と増えている。

 腹腔鏡下スリーブ状胃切除術のスリーブとは「袖」を意味する。半月状の胃のうち、弧の方をカットし、袖のように細くする。胃の容量は本来1・8〜2・0リットルあるが、0・1リットル程度にする。胃が小さくなることで、食欲を促すホルモン「グレリン」の分泌量を減らし、食欲がわかないようにする。

 手術には、胃を切りながら、切断面を挟んで閉じる器具を使う。開腹せず、腹部に0・5〜1・5ミリの穴を開けるだけ。手術時間はおよそ2〜3時間で済む。

 保険適用には、▽体格指数(BMI)が35を超える高度肥満症▽糖尿病、高血圧、高脂血症、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のうち、少なくとも一つの病気がある▽食事や運動など内科的治療を半年以上続けたが、効果が不十分―の三つの条件を全て満たす必要がある。甲状腺の病気など肥満の原因が別にあれば、手術はできない。

 条件は厳しいが、森山医師は「肥満の悪循環は食べることが好きなら、誰しも起こりうる」と話す。

 金沢市内に住む女性は食べるのが何よりの楽しみだった。30代後半から徐々に体重が増え、内臓疾患に。痩せるように医師から指導され、体重を減らしたものの、何度もリバウンドした。体重は100キロを超え、BMIも35に達した。

体重もとに戻す作用

 人間は元来、体重を減らそうとすると、長い期間を過ごした体重に戻そうとする作用が働くとされる。森山医師は「その力にあらがうのは、息を無理に止め続けるようなもの。単に『意志が弱い』『我慢が足りない』と言い切れない」と話す。食欲の発生源を取ってしまう胃の切除術が有効な理由はそこにある。

 前述の女性は手術を受け、食欲をほとんど感じなくなった。体重は順調に減り、70キロ台となった。

 人生を変える手術だが、森山医師は「必ず痩せる決意があってこそ、効果が出る。『手術さえ受ければ、楽に痩せられる』というものではない」とくぎも刺す。術後も減量対策は続き、禁酒・禁煙、5年以上の通院などが必要になる。適正体重を目指すには、内科的、外科的治療の双方で、患者の強い気持ちが大切になる。



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