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(2331)樹状細胞を活用 肝臓がんの再発ゼロに 初めて発症の患者で
北國新聞(朝刊)2019年03月24日付

 「肝臓がん」は治療を受けたとしても、3年以内に7割の患者が再びがんを発症するとされる。臓器の中でも、人が生きていくために特に欠かせない肝臓をどうやって守るか。免疫治療に取り組む金大附属病院消化器内科(金子周一教授)は「樹状(じゅじょう)細胞」を生かした治療法に、以前からある治療法を組み合わせ、再発リスクを抑える研究を進めている。

取り逃がしたがんたたく

 「免疫治療の長所を生かして、肝臓で取り逃がしたがんをたたく。再発のリスクをぐっと抑えられる」。金大附属病院の水腰英四郎准教授は語る。研究は段階を経て進んでいる。

 2009年に開始された第1段階の臨床研究では、腫瘍のある患部に針を刺してがんを消失させる「ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法」を行った上で、患部に人工的に培養した樹状細胞を投与。主目的である安全性を確認した。それだけでなく、ラジオ波焼灼療法だけを受けた患者では8割の再発が、樹状細胞の投与で5割に抑えられた。特に肝臓がんを初めて発症した患者では、大きな効果が得られた。

 先の臨床試験の結果をもとに、15年から第2段階の臨床試験が行われ、昨年に完了した。水腰准教授によると、肝臓がんを初めて発症し、がんの目印であるペプチドを3種類以上治療に使用した患者の再発はゼロに抑えられた。

 肝臓がんの再発にはいくつかの要因がある。一つは、がんになる前段階で、肝臓が弱っているためだ。肝臓は、ウイルス性の肝炎や脂肪肝が悪化すると、肝硬変を引き起こす。この状況がさらに悪くなって肝臓がんを招く。さらに、他のがんと同じように外科手術を受けても、がん細胞が臓器内に残ってしまうこともある。

 脳死者や生体間からの移植で新たな肝臓を得る方法もあるが、水腰准教授は「欧米と異なり、すぐに誰もができる治療方法ではない。だからこそ、免疫治療が有効になる」と話す。

 免疫治療で使われる樹状細胞は、免疫細胞の一種だ。前回紹介した「がん免疫サイクル」では、がん細胞から出されるがん抗原を捕まえ、リンパ球などに対して、攻撃の指示を出す役割を担う。

 具体的には、衰弱したがん細胞の一部を取り込み、そのがんの目印を自身の細胞表面に表示する。リンパ球はこの目印によってがんの特徴を知り、攻撃を展開する。樹状細胞が多ければ、多いほど、リンパ球の攻撃も強くなるのだ。

治験開始を目指して

 効果をさらに確認する第3段階の臨床研究に向けて新年度から準備を進め、20年度以降の治験開始を目指す構えだ。水腰准教授は「少しずつ足場を固めていく。今後は、どのようなケースで特に効き目があるかを詳細に把握する必要がある」と展望を語る。



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