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(2332)ペプチドワクチン 特徴捉え精密にがん攻撃 末期で45%進展抑え
北國新聞(朝刊)2019年03月30日付

 再発の可能性が高い「肝臓がん」に対抗する。金大附属病院消化器内科(金子周一教授)による免疫治療には、前回紹介した「樹状細胞(じゅじょうさいぼう)」以外にも、がんの表面にあって目印となる「ペプチド」に着目した治療法がある。

免疫サイクルを加速

 金大附属病院消化器内科の水腰英四郎准教授らが取り組む「がんペプチドワクチン療法」は、人工的につくり出した「ペプチド」を活用し、人間が持つ「がん免疫サイクル」を加速させる方法である。末期がんを対象とした臨床研究では、45%の患者にがんの進展を抑える効果を確認。さらに、再発防止を目的に従来の治療法と組み合わせた研究が進められている。

 がんの目印となる「ペプチド」は、がん細胞がつくり出すタンパク質のかけらだ。がんを犯人とするならば、「中肉中背」「ジーンズに黒い上着」など、その犯人の特徴を示すものである。

 ワクチンを患者に投与すると、反応するのは、免疫細胞の一つ「リンパ球」である。リンパ球は、ワクチンを通してがん細胞の特徴を認識し、体内でがん細胞を見つけると即座に攻撃するようになる。しかも、犯人のめぼしがついているため、治療は効率的だ。水腰准教授は「抗がん剤のように正常な細胞も含めて攻撃する『じゅうたん爆撃』ではなく、がん細胞だけに狙いを絞った『精密爆撃』といえる」と語る。

 金大附属病院に入院していた50代の男性は肝臓がんを繰り返し発症。余命は長くて半年。「もう打つ手がない」とみられたが、ペプチドワクチンの投与によって、がんはどんどんと消えていった。男性はいまも元気に暮らしているという。再発を繰り返し、余命3カ月とされた別の患者もペプチドワクチンを投与してから、一度も再発していない。

 当初、末期がんを対象とした研究は現在、再発防止も含めた分野へと広がっている。カテーテルを肝臓内の腫瘍につながる血管へ挿入し、腫瘍に酸素や栄養を与える血管をふさぐ従来の治療法と組み合わせ、6種類のペプチドワクチンを投与。仮に再発したとしても、すぐにがん細胞に対抗できるようにしたのだ。

 2018年までの臨床研究で、カテーテル治療とペプチドワクチンを組み合わせた手法は安全性が確認された。水腰准教授は「今後は治療効果を示す患者さんを見極めていくことがテーマとなっていく」と説明する。

カードを増やす必要

 前回紹介した「樹状細胞」だけでなく、ペプチドを活用した研究が進むのは、現段階でどんな患者にも効くという方法が確立していないためだ。実際、「オプジーボ」をはじめとした免疫チェックポイント阻害薬はどんな患者にも効く訳ではない。

 水腰准教授は「感覚的なとらえ方」と断りながらも免疫治療1種類当たりで効果が出るかどうかは、患者全体でも最小で1割、最大で4割と見積もる。その上で「逆説的に言えば、効果が現われる患者がいるのも事実。だからこそ、多くのカードを用意しておき、効果の現われる治療法と患者の組み合わせを見極める必要がある」と解説する。



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