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(2333)T細胞を活用 直接闘うリンパ球を強く 進められる基礎研究
北國新聞(朝刊)2019年03月31日付

研究を進める水腰准教授(左)=金大附属病院
 人間にもともと備わっている「がん免疫サイクル」を好循環させるには、どうしたら良いのか。サイクルを見て誰もが考えつくのは、がん細胞と直接闘うリンパ球の機能を高める方法だ。金大附属病院消化器内科(金子周一教授)でも遺伝子操作によって、リンパ球の一つ「T細胞」を強化しようと、基礎研究が進められている。

 これまで紹介したリンパ球に指示を出す「樹状細胞(じゅじょうさいぼう)」や、がんの目印となる「ペプチド」に着目した免疫治療はもちろん有効策だが、リンパ球そのものの機能を高めれば、より効果が期待できる。

 金大附属病院消化器内科の水腰英四郎准教授は「犯罪に立ち向かうため、前述の二つが指令機能や手配を強化すると考えれば、リンパ球の機能を高めることは犯罪を取り締まる警察官を強くすることだ」と説明する。

触手合って捕捉

 T細胞は、T細胞レセプターと呼ばれる「触手」を持っている。がん細胞も特有の「触手」を持っており、双方の手の形が合うと、T細胞ががん細胞をつかまえて攻撃を加えている。

 T細胞の機能を高める治療では、この触手を持つ特定のT細胞から遺伝子情報を取り出すことから始まる。がん細胞に符合する触手を増して、T細胞に付与するのだ。

 具体的には、患者から採血し、T細胞だけを分離。がんをキャッチできる触手をつけるための医療用ウイルスを投与して、人工的にT細胞に触手をつけてやる。そしてT細胞を増やした後、点滴で体内に戻す。

 基礎研究は、2012年からスタートし、ほぼ最終段階まで進んだ。水腰准教授によると、肝臓がんを攻撃できる触手を3種類同定している。これらの遺伝子を用いてT細胞を強化することができている。

 この治療の想定段階では、遺伝子操作を伴うため、治療用に増強したT細胞ががん化したり、がんをつかまえるのとは別の「触手」ができたりするのではないかとの懸念があった。しかし、現時点ではこれらの弱点を克服する技術も確立されてきているという。「想定の範囲内であり、研究は順調に進んでいる」と水腰准教授は説明する。

がん克服への道

 水腰准教授によると、今後、この治療法は臨床研究の段階へ進められる予定だ。この先、これまでの免疫治療と同様に、人体での安全性や治療効果の確認を順を追って確かめていく必要があるが、水腰准教授は「免疫治療は日進月歩で進化している。他にも多くの免疫治療の方法が開発されており、きっと人類はがんを克服できる」と自信をのぞかせる。

 がんと免疫治療の歴史は古い。明治維新があった1868年に、最初の研究報告が発表されたことがスタートとされる。それから150年。免疫機能を生かしたがんとの闘いは北陸の地で着々と進んでいる。



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