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第74部・目指そう適正体重

(2335)患者の見極め リンパ球着目、予想因子に 昨夏から研究スタート
北國新聞(朝刊)2019年04月07日付

基礎研究を説明する伏田臨床教授=金大附属病院
 がんに対する免疫治療が手術や抗がん剤、放射線の三つの治療と大きく異なる点がある。「オプジーボ」「キイトルーダ」をはじめとした「免疫チェックポイント阻害薬」が劇的に効く場合がある一方、全く効果が表れないケースがあることだ。胃がんにも当然、その傾向がある。では、どんな患者なら効果が望めるのか。この謎を解き明かそうと、金大附属病院の医師らは取り組みを進めている。

 「日本をはじめ、世界各国で研究が進められている。金大でも、効果があるかどうかの予測因子を解明しようとしている」。胃腸外科の伏田臨床教授は語る。

 伏田臨床教授は、消化器内科の水腰英四郎准教授らと協力し、2018年夏から基礎研究を始めた。オプジーボの投与前後のリンパ球を分析し、効果が期待できる傾向を探し出そうというものだ。

17項目で分析

 具体的には2週間に1度、オプジーボを患者に投与。これを4回繰り返したところで、8週間前と比べてリンパ球に変化があるかを調べるのだ。リンパ球には、がん細胞などを殺す「キラーT細胞」や指揮官の役目を果たす「ヘルパーT細胞」などいくつも種類がある。現段階では17種のマーカーを用いて分析を進めている。

 免疫チェックポイント阻害薬がそもそも、患者によって効果に大きな違いがあるのはなぜか。

 要因の一つに考えられるのが、がん細胞の目印になる「がん抗原」だ。がんは遺伝子の異常によって生まれるが、同じがんに苦しんでいる人でも、がん抗原が複雑な人と、そうでない人がいる。複雑な人のがん細胞は、犯罪者でいえば、特徴が多い人物。伏田臨床教授は「指名手配犯でも『背が2メートルで髪が金髪』という方が、捕まりやすいと考えれば分かりやすい」と説明する。

 効果が出やすい例はほかにもある。がん抗原と密接な関係にある、遺伝子配列において「GTGTGT…」など、同じ情報が繰り返される部分にエラーが出やすい修復遺伝子に異常を持つ人。専門用語で「マイクロサテライト不安定性」が高い人ほど、効果があるとされ、実際に保険適用で調べられる。

阻害薬の不思議

 一方、薬にも不可思議な点がある。キイトルーダはがん細胞に「PD―L1」と呼ばれる抗原が発現していないと効果がない。オプジーボも同じ抗原に作用するはずだが、胃がんの原発巣にPD―L1がはっきり発現していないとみられるケースでも、効くことがある。伏田臨床教授は「だからこそ、リンパ球に着目した金大での基礎研究も、一つの判断材料になる可能性がある」と話す。

 伏田臨床教授が加えて強調するのは、基礎研究が将来の飛躍につながる可能性があるためだ。「単に効く効かないを区別するだけでなく、効く状態をつくり出すヒントが見つかるかもしれない。効かない患者さんを、どう救うのかは大学病院に課せられた使命だ」と力を込める。免疫治療が進化するかどうかは、数々の基礎研究が鍵を握っている。



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