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第75部・心を整える

(2340)悩みは身近に 精神疾患、五大疾病の一つに 「私は大丈夫」は禁物
北國新聞(朝刊)2019年04月27日付

精神疾患はすぐそばにあると語る菊知教授=金大附属病院
 がんや脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病は死につながる恐ろしい病気であり、厚生労働省は地域医療の基本指針となる医療計画に盛り込むべき四つの疾患としている。2011年、ここに精神疾患が加わり、五大疾病と改められたことをご存知だろうか。「私は大丈夫」と考える人も少なくないだろう。しかし、専門医はうつ病や強迫性障害など精神疾患は体の悩みと同じく身近な病気だと指摘する。

 「精神疾患はひきこもりや不登校につながることもある。侮ってはいけない」。5月1日から金大附属病院神経科精神科の教授に就く、菊知充・金大子どものこころの発達研究センター教授は語る。 近年減少傾向にあるが、年間2万人以上がいる自殺。原因の一つに指摘されるのが「うつ病」だ。人間関係や経済面の悩みなど強いストレス下にあると発症しやすくなるうつ病は日本では、10人に1人が一生の間に1度、診断基準を満たすとされる。

 ときに幻覚や幻聴を伴い、事実にないようなことを考えてしまう精神疾患の代表格ともいえる「統合失調症」は、100人に1人が発症するともいわれている。

環境が大きく作用

 「遺伝的な要素が起因の一つになる場合もあるが、環境も大きく作用する。ということは、誰しも発症する恐れがある」と菊知教授は語る。

 几帳面な性格の男性は多忙な仕事に追われていたが、上司との折り合いが悪くなり、仕事を任されなくなった。相談できる人もなく、徐々に不眠気味に。集中力も低下し、仕事で小さな失敗を繰り返し、会社を休みがちになった。

 「もう死んでしまおうか」とまで悩んだが、治療を始めた段階で、会社の協力で異動するなど、環境を改善したところ、以前のような元気を取り戻した。

 気持ちの落ち込みと高揚感に交互にさいなまれる「そううつ病」や、「ちゃんと鍵を掛けたかな」などが気に掛かり、心が著しく不安定になる「強迫性障害」、一日何度もインターネットを見たり、万引をやめられなくなったりする「依存症」は環境変化がときに原因となる。生まれつき、脳の機能面に違いのある「発達障害」も成長に即した対応が欠かせない。

心の強さ人それぞれ

 菊知教授は「足の速さや力の強さが人によって違うように、心の強さも人それぞれ。『気持ちを強く持て』といった言葉だけでは解決しない。患者自身と、周囲で支える人が病気を理解し、向き合うことが必要になる」と話す。

 精神疾患は、早期に問題が解決する事例もあるが、環境を変えたり、悩みの原因を探ったりと時間を掛けた治療が必要になる。

 厚生労働省は今年2月の検討会で、今後、精神科医師の需要低下を予測していると報告した。しかし、菊知教授は「体に関する病気と違い、心の悩みは未解明な部分がある。一層細かい対応が求められるため、精神科医の必要性が減ることはないだろう」と見立てる。



 健やかな人生には、身体面の病気に加え、精神的な問題を理解し、備えることが欠かせない。第75部は「心を整える」をテーマに、精神疾患を中心に紹介する。



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