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第75部・心を整える

(2344)不登校への対応 予防、集団対策でリスク軽減 心の病気あっても効果
北國新聞(朝刊)2019年05月11日付

不登校への備えを説明する田中特任助教=金大附属病院


 「不安障害」や「うつ病」、生まれつき脳の機能に違いがある「発達障害」はときに、不登校の原因になる。しかし、これらの悩みがあっても、集団で環境を整えたり、インフルエンザへの予防接種のように事前に対策を取ったりしていれば、不登校に加え、いじめのリスクを低減できることが分かってきた。金大は、他大学と連携し、科学的な見地を生かした対応策を提案している。

金大、他大学と連携

 「心の病気を含め、不登校にはさまざまな要因がある。科学的な調査によりいくつかの危険因子が重なることで、不登校のリスクが高まることが分かってきている」。金大子どものこころの発達研究センターの田中早苗特任助教は語る。田中特任助教は、金大が阪大、浜松医科大、千葉大、福井大など大学や、各地の教育委員会で連携して取り組む「子どもみんなプロジェクト」にも参画している。

 このプロジェクトでは、全国各地の小中学校の児童生徒や保護者、教職員を対象に調査を実施。その結果、登校不安定との関連が強い要因には、発達障害の程度や成績、友達の人数、インターネットの使用時間、世帯年収など個人に関わる項目に加え、「学校風土」も含まれていた。

 学校風土は「学校の雰囲気」と考えればイメージしやすい。「何だか楽しそう」や「子どもも先生も表情が暗い」など各校の特徴を、安全や学習、関係性、環境の4領域で調べて、得点化している。田中特任助教は、統計的に見ると、「仮に同じような特性を持つ児童や生徒がいたとしても、学校風土が良いと、いじめや不登校などの問題行動につながるリスクを減らせることができる」と語る。

 このプロジェクトでは、学校風土をよりよい方向に導くため、多くの学校で「抑制脳」を育てる取り組みが進められた。これは、感情を言語化する習慣を身に着け、行動をコントロールしたり、他者との関係を構築したりする力を引き出すことだ。具体的には「暴れる」から「質問する」、「泣く」から「交渉する」、「けんかする」から「話し合う」というように別の行動を教える。

 ある学校では、けんかをした際に、深呼吸や相手の意見を聞くなど6カ条の「仲直りシステム」を全校で共有。田中特任助教によると、これにより学校風土が改善し、未実施学校と比べていじめ被害が軽減する傾向がみられたという。

予防プログラムを提案

 これらの学校風土に加え、子どもの心理面での安定や教員の不安対処能力の向上を目的に、千葉大が考案し、金大など他大学が推奨しているのが「勇者の旅」と呼ばれる不安予防プログラムだ。

 小学校高学年から中学生を対象としており、認知行動療法の理論に基づき、1回45分の講話を10回行う。ロールプレーイングゲームのようなワークブックに沿って、自身の感情をコントロールし、他者の感情を理解する手法を学ぶ。田中特任助教は「石川県内でもリスクを抱える児童生徒だけでなく、全ての子どもたちに対し学校全体で取り組めば、将来的には、不登校の減少が期待できる」と強調する。体の病気と同じく、心の健康にも集団による予防は有効策なのだ。



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