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第76部・ミクロの底力

(2359)放射線科医の仕事(下) 「黒い紙」から「黒い点」探す 繰り返す検討、検証
北國新聞(朝刊)2019年06月30日付

検討、検証を積んで技量を高め、画像診断に臨む放射線科の医師=金大附属病院
 総合病院において病気の診断に大きく関わる放射線科医は、まず卓越した「眼力」が求められる。「簡単に言えば、黒い紙にあるわずかに色の違う黒い点を探すようなもの。高いレベルを目指すには、何百、何千の症例を見るしかない」。放射線科医である金大附属病院の蒲田敏文病院長(金大副学長)は説明する。

変異は2千枚に1枚

 進行が早いため、早期発見が鍵を握る「すい臓がん」。蒲田病院長によると、患者1人当たりで約2千枚の画像データのうち、変異を示すのはわずかに1枚しかないということもざらだ。

 しかも、人間の体は顔や指紋と同じように、実は臓器や血管も千差万別だという。「ちょっとした変化に気づくことができなければ、見えてないのと同じ。正常な場合の画像データも含め、どれだけ経験を積んだかが大切になる」と蒲田病院長は強調する。

 さらに、実は別の病気が潜んでいるケースもある。

 ある男性は、心臓付近の動脈瘤を調べるため、コンピューター断層撮影(CT)を受けた。担当医の見立て通り、大きな動脈瘤があることが確認された一方で、放射線科医が気になったのは、大腸に見られた腸壁の変化だった。「腸が動いた可能性もあるが、腫瘍の恐れがある」。病理検査をしてみたところ、ごく初期の大腸がんだった。内視鏡による手術で、男性は短期間で健康を取り戻した。

 診断においては、それぞれの担当科以上の見識が求められる放射線科医。100%の診断を目指すが、蒲田病院長は「一方で100%はあり得ないということも忘れてはいけない」と語る。

 実際、肺がんと見立てたが、病理検査の結果は結核による炎症、その逆のケースもあるという。

 多くの症例に目を通すとともに、技量を高めるために欠かせないのが検証だ。金大附属病院では、術前、術後のカンファレンスには担当科と放射線科に、病理部なども加わり、診断や治療の検討、検証を繰り返し行っている。「ここで学んだこと、反省したことが次の正確な診断につながっていく」と蒲田病院長は語る。

見落とさない仕組み

 他県では、病気の見落としで患者が死亡し、訴訟になるケースがある。この中には、放射線科の医師が指摘しながらも、担当医が見逃してしまった例もある。

 蒲田病院長は「金大附属病院では、先人たちの取り組みのおかげで、各科ともに、放射線科医の意見を必ず耳に入れ、尊重する気風がある」と語る。カンファレンスはまた各科との連携を深め、見逃しを防ぐ役割を担う。

 とはいっても、人間はミスをする生き物でもある。そのため、金大附属病院は放射線科医の報告書に目を通したかどうかを確認するシステムを導入したほか、一刻を争うケースでは放射線科医が担当医に口頭で必ず伝えることを習慣化しているという。

 現在、金大附属病院は、北陸の約80の病院に放射線科医を派遣したり、常駐させたりしている。特に奥能登の病院とはICT(情報通信技術)を活用し、即時に放射線科医の診断が受けられる仕組みを整えている。



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