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第81部・目を健やかに

(2460)糖尿病網膜症(上) 薄れた危機感、失明の原因に 症状ないまま進行
北國新聞(朝刊)2020年06月20日付

進行した糖尿病網膜症の治療前(右)と治療後の画像。悪化するまで症状はほとんどない=金大附属病院
 糖尿病は国民の6人に1人が有病者や予備軍とされている。一度、発症すれば、生涯付き合わなければならず、特に厄介なのは、ほかの病気の原因となることである。その一つが「糖尿病網膜症」だ。最悪の場合、失明に至る危険がある。

受診を怠り

 金沢市内に住む50代の男性は、40歳のころに、会社の健康診断で糖尿病が分かった。最初の数年こそ、毎夜のように飲酒していた生活を改め、内科もきちんと受診していたが、特に症状も出ない。

 徐々に危機感は薄れ、以前のように好きな物を食べて、毎日晩酌を楽しむようになった。そんな生活を続けて数年、何だか視力の衰えを感じるようになった。

 「まあ、年を取っているからだろう。同年代の同僚も『目が見えにくくなってきた』って言ってるし」

 家族からの「ちゃんと病院に行ったら」との言葉を聞き流していた男性。そのうち、視力だけでなく、視野にも変化が現われた。

 「見える範囲が狭くなっている。このままだと、見えなくなるんじゃ」

 男性は慌てて近くの眼科医院を訪れた。不安げな男性を診る医師は神妙な顔つきである。「糖尿病網膜症ですね。かなり症状は進行しており、おそらく手術をしないといけません」。医師の言葉が男性の頭の中で繰り返された。

 糖尿病網膜症は、成人が失明する原因としては、緑内障、網膜色素変性症に続き3位となっている。

 ここでいう「失明」とは、文字通り全く見えなくなるだけでなく、視力や視野にある程度の障害があるケースも含んでいる。しかし、金大附属病院の東出朋巳病院臨床教授は「糖尿病があると、いずれ網膜症を発症する。自覚したときには、病状が相当に進んでいる」と警鐘を鳴らす。

 糖尿病は、高血糖が続く病気である。そしてこの高い血糖が血管を痛める。これが、目の中に入ってきた光を情報としてキャッチする「網膜」の血管で発生するのが糖尿病網膜症であり、大きく分けて3段階に分けられる。

 初期は、「網膜」の毛細血管の血の流れが悪くなり、こぶや小さな出血が生じる。ただ自覚症状は全くない。

 視力低下が起き始めるのは、中期の段階からだ。網膜の血管が詰まり、血の流れない「虚血部分」ができると、栄養を運ぶルートを新たに作ろうと「新生血管」ができる。名前とは裏腹のもろい血管で、血液の成分がしみ出し、網膜をさらに痛めていく。

網膜?離も発症

 さらに進行すると、眼球内に増殖膜が生まれる。膜はときに、網膜を引っ張る。そして、起こるのが網膜?離である。「水分で満たされた目の排水路である『隅角(ぐうかく)』に影響する場合は、緑内障を誘発する。糖尿病網膜症が怖いのは、他の目の病気を引き起こす点だ」と東出氏は語る。

 段階に応じてレーザー治療や、増殖膜の除去など対応策が必要になる。症状のない初期なら糖尿病をきちんと治療すれば、網膜症の進行を抑えられるという。

 ところが、そう甘くないのが糖尿病である。東出氏は「網膜症が初期でも視力が悪化するケースがある」と指摘する。



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