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第81部・目を健やかに

(2461)糖尿病網膜症(下) 視力の要「黄斑」にダメージ 初期の段階から悪化  
北國新聞(朝刊)2020年06月21日付

眼底の写真に写り込んだ浮腫。視力の要である黄斑にできると、視力が低下する=金大附属病院


 今回は、まず眼底の写真を見てほしい。金大附属病院眼科の東出朋巳病院臨床教授が指さす画面の周辺に黄色の斑点が見える。糖尿病網膜症の合併症「黄斑(おうはん)浮腫」である。

 本来は段階を経て視力を奪っていくのが糖尿病網膜症だが、黄斑浮腫になると、初期の段階でも視力障害が起きる「落とし穴」がある。

 金沢市内に住む自営業の60代男性は長年の暴飲暴食がたたって、昨年、糖尿病にかかっていることが分かった。

 内科医からは「生活習慣、特に食生活を見直し、運動も心掛けてください」と助言されていたが、自覚症状もないために、ほとんど生活を変えていなかった。

 そんな中、現れたのが目の変化である。普段通りの日もあれば、「何だか見えにくいな」と感じる日が出てきた。

 気にはなったが、仕事が忙しい。病院通いの足も徐々に遠のいていった。

左右で視力に差

 そんなある日、妻に声を掛けられた。「あんた、免許の更新、近づいとるよ」

 数日後、慌てて駆け込んだ免許センター。「違反は全然していない。けど目は大丈夫かな」。その不安は、視力検査で的中した。

 右目こそ0・6だったが、左目は0・1。「え。こんなに悪くなっているの」。免許は更新できず、迎えに来てもらった妻の運転で眼科医院を受診した。

 「糖尿病網膜症の上に、左目は黄斑浮腫も起きている。左目の方が視力の悪い原因はこれでしょう」。驚いた男性は、医師の説明にうなずくことしかできなかった。

 視力は物をどれだけ細かく見分けられるかの能力である。力を発揮するためには、網膜に存在する視細胞で目に入る光をしっかりキャッチすることが大切になる。この視細胞が特に密集しているのが網膜の中心「黄斑」である。

 糖尿病網膜症は、高い血糖で網膜の毛細血管が傷つく病気だ。そこから血中の成分が漏れると、初期でも、むくみである「浮腫」や、「硬性白斑」と呼ばれる沈着物ができることがある。

 浮腫が黄斑以外で生じた場合は、その他の部分で補えるため、視力の低下を自覚しにくい。しかし、とって変わることのできない視力の要「黄斑」だと、状況は異なる。「網膜症自体が初期でも、それ以上に視力が落ちてしまう」と東出氏は解説する。

注射薬で改善

 現在、黄斑浮腫の治療では、「抗VEGF薬」を目に注射することで、目の浮腫を改善する方法がある。ただ、繰り返し打たなければならないケースが多い。

 糖尿病網膜症は現在、成人の中途失明の原因で第3位だが、治療法が進化する以前は緑内障に次ぐ、第2位だった。

 東出氏は「この順位をさらに下げるためには、大切なことが三つある」と語る。一つ目は糖尿病にならない。二つ目は、発症しても内科医の指導で血糖管理を徹底する。三つ目は、目に異変がなくても、眼科で定期的に調べてもらうこと、である。

 物が見えなくなって初めて糖尿病の怖さを知る事態は避けたい。病の正しい知識を学び、うまくつきあえば、糖尿病が無い人と同じように健康な目は維持できるのだから。



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