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第81部・目を健やかに

(2468)老眼(上) やせ我慢で体調悪化 「誰にでも起こる」
北國新聞(朝刊)2020年07月18日付

 「あれ、おかしいなあ」。金沢市内に住む40代後半の女性はここ数年、見えにくさを頻繁に実感するようになった。

 とにかく、近いところが見づらく、仕事で使う書類はもちろん、スマートフォンの画面も以前より目から離さないと文字が読めなくなった。

 もともと、近視で眼鏡を使っていたが、眼鏡を掛けても合わなくなってきている。眼鏡を外すと、逆に見やすくなる。ふと、新聞を顔から離して読んでいる実家の父が頭に思い浮かんだ。

 「まさか、老眼なの?」。とはいえ「老」という文字は、そう簡単には受け止められない。「大丈夫、ちょっと仕事で疲れているだけ」と気にかけないようにしているが、症状はほかにも現れた。

頭痛や肩こり

 合わない眼鏡のまま、仕事をしているため、ひどく目の疲れを感じる。特にデスクワークに追われた後には、頭が痛くなったり、肩凝りがひどくなったりする。吐き気、食欲不振を感じることもある。

 「取りあえず診てもらおう」と訪れた眼科で、衝撃を受けた。「眼球に問題はありません。目の変化は老眼ですね」。

 まだ40代なのに…と落ち込む女性を前に、医師が言葉をつないだ。「老眼は、年を取って突然起きるものではありません。生まれたときから少しずつ始まっています」

 眼科の分野には、医師や看護師とは違う、目のスペシャリストがいる。それが、検査を専門的に行う「視能訓練士」である。近視や遠視、そして老眼に悩む人たちをサポートする存在でもある。

 金沢医科大の視能訓練士である三田哲大主任は「『恥ずかしい』『自分は大丈夫』と、やせ我慢をして、対策をしないことの方が生活に悪影響を及ぼす」と語る。

 見えにくさを感じているのに放置して、眼精疲労などを招き、先の女性のように肩凝りや頭痛など体調を悪くする人は珍しくない。

 老眼はなぜ起こるのか。人間が物をはっきり見ようとするとき、活躍するのが目の中のレンズ「水晶体」である。対象物との距離に応じて厚みを変え、光をキャッチする網膜にピントを合わせる。

 遠くを見るなら水晶体は薄く、近くなら厚く。水晶体に弾力と高い調整力があるから自在に変化するが、実は誰でも、子どものころから、この能力が少しずつ衰えていく。

 特に水晶体を厚くするのが難しいため、目に近いところから徐々に見えにくくなる。「それが多くの人の場合、40代で手元に及ぶ。それまで気付かなかったのに、そこで初めて老眼を実感するのです」と三田主任は解説する。

予防、治療法ない

 できれば予防したいが、老眼は生理現象のため、止める方法や治療法はない。スマートフォンやパソコンの使いすぎは、直接、老眼を早く進める原因にはならないが、ピントを合わせるのが遅くなるという。

 ちなみに遠視や近視は調整力の衰えが原因ではなく、網膜に合うはずのピントがずれている状態だ。老眼が起きる仕組みとは関係がない。「自覚しやすい、しにくいにはあるかもしれないが、老眼はどんな人でも起きている」と三田主任。老眼は長い人生の通過点だと考えたい。



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