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第81部・目を健やかに

(2477)網膜静脈閉塞症(下) 満月が線香花火に見えた 高血圧、加齢がリスク
北國新聞(朝刊)2020年08月16日付

満月と金沢城公園の鼠多門。文中の女性の左目には、「満月が線香花火に見えた」という=金沢市尾山町から(月は230_で撮影し比較明合成)
 加賀市に住む70代女性はある日、北國新聞朝刊を開き、一枚に写真に目が引かれた。金沢城公園の鼠多門(ねずみたもん)橋と、満月をとらえた写真である。「きれいな月。私も今夜見てみよう」

 その夜、自宅前で空を見上げた。驚いた。月の美しさにではない。見え方が今までと違ったからである。

 両目や右目だけで見ると、いつも通り、まん丸とした月だが、左目だけで見ると、光の帯が、月の中心から何本も出ているのである。

 「まるで線香花火を見ているよう。どうして?」

 新聞は裸眼で読むことができるし、趣味の編み物では、眼鏡を使わなくても針の穴に糸を通せる。それほど目には自信があった。

 不安を感じた女性は数日後、眼科を受診した。

 検査後、医師から伝えられた病名は、眼球内の静脈が詰まることによって起こる「網膜静脈閉塞症(もうまくじょうみゃくへいそくしょう)」だった。

 「治療を進めていきましょう。ただし、前のように戻るかは分かりません」と医師は説明した。

糖尿病も関係

 健康だった目にも突然起こる「網膜静脈閉塞症」。原因は何なのか。

 金大附属病院眼科の竹本大輔助教によると、この病気と深く関連が指摘されているのが、高血圧や高脂血症、糖尿病である。「高い血圧や血糖・コレステロール値によって、血管がダメージを負う。もちろん、目の血管にとってもよくない」と指摘する。

 しかし、冒頭の女性は「確かに血圧は高いと言われているが、ちゃんと薬を服用していた」と語る。

 では、なぜ起きたのか。

 それは、この病気が加齢も関係しているためだ。年齢を重ねていくと、血管の状態は変わっていき、トラブルを起こしやすくなる。

 小さな目の中には、動脈と静脈が無数に走っている。その中には、動脈と静脈が交差する部分がある。「交差部分で、硬くなった動脈によって、静脈が圧迫され、閉塞状態を作り出す。動脈が硬くなるのは老化と深く関係する。つまり加齢によるリスクはどうしても生じるのです」と竹本助教は話す。

中高年に多く

 実際、この病気は40歳以上の有病率が2%とされる。40人のクラスなら、教室には1人ぐらい、いることになる。竹本助教は「中高年に多いとされ、視野の中心がゆがむ『加齢黄斑変性』よりも患者が多い印象を受ける。決して珍しい病気ではない」と解説する。

 とはいえ、悲観する必要はない。まずは、糖尿病や高血圧などがあれば、きちんと治療することで病気のリスクは下げられる。

 普段から片目で物を見て視野を確かめたり、定期的に目の検査を受けて病気を見つけ、早めに治療を始めることも大切になる。

 冒頭の女性は、左目だけで見ると、物が一回りほど小さく見える状態だ。「どうして私がという気持ちもある。でも、皆さんにこの病気を知ってほしい」と話す。

 加齢が引き起こす怖い目の病気があることを知り、生活習慣病のケアとともに、注意を払いたい。



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