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第82部・口は災いのもと

(2489)口は災いのもと 歯列矯正(下) 目立たず、短期間で治療 選択肢増え門戸広がる  
北國新聞(朝刊)2020年09月27日付

インプラント矯正
 歯並びの悪さが全身に及ぼす悪影響や、矯正するメリットを頭では分かっていても、いざ治療となるとハードルが高い。そう感じる人は少なくないだろう。数年間、歯に矯正具をはめ続けるとなれば、こと社会人は見た目がネックとなり、二の足を踏みがちだ。

 日本矯正歯科学会の指導医で、金沢医科大顎口腔(がくこうくう)外科学の出村昇教授は「矯正技術も進歩し、目立たず、比較的短い期間で治療を完了する手法が登場しています」と話す。

歯の裏側に装着

 前回に紹介した「マルチブラケット装置」は、歯の前面に固定して歯並びを整える装具で、ニッと笑えば金属やワイヤが丸見えになる。これを歯の裏側に取り付けるのが「リンガルブラケット」だ。

 この手法なら正面から見た時に装具が目立たず、矯正治療中であると周囲に気付かれにくい。ただ、患者個々の口腔スペースに合わせて装具をオーダーメードするため、費用は割高になる。

 短期間で治療を終えたいという要望に応える技術も出てきた。接客業を志望していた石川県内の20代女子大生は、上下の前歯が前後にずれてかみ合わない乱杭歯(らんぐいば)をこの機に直そうと、金沢医科大病院で矯正治療をスタートした。

 ただ、一般的な3年スパンの治療計画では就職活動が始まる時期に間に合わない。そこで出村教授は「インプラント矯正」を提案した。

 この手法は、ブラケットの装着に加え、歯茎を貫通して歯の土台である「歯(し)槽(そう)骨(こつ)」にネジ(アンカースクリュー)を打ち込み、これを土台にしてワイヤで歯を引っ張るというものだ。ネジは長さ6〜8ミリ、直径1・2〜1・5ミリで、局所麻酔をかけて打ち込む。

 ブラケットによる治療は、矯正したい歯と、正常な位置に生えている歯をワイヤでつないで「綱引き」させ、正しい位置に戻すのが基本原理である。引く力が強ければ矯正効果が高まり、所要期間も短くなる。複数の支点を作って引っ張るインプラント矯正の場合は、症例にもよるが、治療期間を1年程度に短縮できる場合があるという。

 女子大生は計12本の前歯の矯正を2年未満で完了させ、就活では堂々と面接に臨むことができた。出村教授は「前歯で食べ物をかみ切れるようになったのも大きいが、一番は笑顔に自信が持てるようになったこと。気後れせず人前に出られる喜びは何ものにも代えがたい」と力説する。

取り外しも可

 常時、矯正具を付け続けるのに抵抗がある人には、マウスピース式の治療も用意されている。プラスチック製の透明なマウスピースを矯正したい箇所にはめ、定期的にマウスピースを交換していくことで徐々に歯列の凹凸を緩和していく方式である。

 ブラケットに比べ歯を動かす力は弱いが、簡単に取り外しできるのが利点だ。食事中や人と会う時には外し、通勤時や就寝時に付けるといった柔軟な矯正治療ができる。

 いずれの治療もケース・バイ・ケースで、適応があるかどうかは専門医の判断が必要だが、「矯正治療の門戸は広がっている。長年悩み、諦めている方も、一度相談してほしい」と出村教授。コンプレックスを解消し、健康寿命の延伸にも寄与しうる一石二鳥の治療である。幾つになろうと手遅れということはないのだ。



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