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第82部・口は災いのもと

(2491)口は災いのもと 口腔がん(上) 悪い歯並びが舌を刺激 痛みないできものに注意
北國新聞(朝刊)2020年10月04日付



 口腔(こうくう)がんの一つである「舌(ぜつ)がん」は、タレントの堀ちえみさんが昨年に闘病を公表したことで、広く世間に知られるようになった。

 かつては喫煙や過度の飲酒を長年続ける高齢男性に多いがんといわれていたが、新たに関連性が指摘されるようになったのが口腔環境である。虫歯や口の乾燥、歯並びの悪さなどを放置していると、がんという大いなる災いを招くかもしれないのだ。

口内炎と勘違い

 金沢市の50代男性は朝の歯磨き中に、舌の縁にできものがあると気付いた。「口内炎かな」。さして気にもとめず過ごしていたが、数日たっても治る気配がない。患部に痛みがないことも男性を不審がらせた。口内炎なら食事や歯磨きの際にしみたりするはずだが、できものは痛くもかゆくもない。

 「まあ、飲み薬か塗り薬で治るだろう」。男性は、すっかり足が遠のいていた近所の歯科医院を久しぶりに訪ねた。事態を軽くみていた男性に、診察した歯科医はすぐさま総合病院で精密検査を受けるよう勧め、金大附属病院で患部の細胞を採取して調べる「生検」が行われた。結果、男性は舌がんと判明したのである。

 金大附属病院歯科口腔外科の川尻秀一教授によると、人口10万人当たりの口腔がんの罹患(りかん)率はおよそ6人とされ、このうち、半分程度が舌がんといわれる。国立がん研究センターの調査によると、胃がんや大腸がんの罹患率は10万人当たり100人を超えており、舌がんは圧倒的に少ない。

 ただ、川尻教授は「罹患率は年々上がっているとの報告があり、若い世代の患者も目立っている」と話す。川尻教授が診察した中には、20代でがんの一歩手前の「前がん病変」が舌に見つかった患者もいたという。

 喫煙や飲酒は少しずつ舌にダメージを与え、がんのリスクを高めることが知られている。同じように、歯並びが悪く、舌と歯が常に触れ合うような状態が続くと、舌に局所的な刺激が蓄積されていく。虫歯で削れ、とがった歯ならなおのこと、会話や食事で口を動かすたび槍先のように舌を責めさいなむことになる。

 舌がんと診断された先の男性も、口腔ケアがおろそかで、虫歯もあれば、歯並びも悪かった。がん化した部位は、歯が当たりやすい箇所だったのである。

発見遅れれば転移

 川尻教授によると、舌がんの生存率は早めに治療を始めれば高く、9割近くは治癒が見込める。当然ながら、がんが進行して首のリンパ節に至ったり、肺などに転移すれば、生存率は下がっていく。

 男性は幸い初期の舌がんだったため、舌の一部を切除する手術を受け、その後は再発もなく過ごしている。切除範囲も小さく、術後の影響は最小限にとどめられた。酒やたばこをたしなむ人はもちろん、そうでない人も、がん予防の観点から口腔環境に気を配りたい。



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